歴史:地名から見る過去と未来

「八潮(やしお)」って地名、珍しいですよね。日本には八潮が二箇所あります。一つは、埼玉県の八潮。もう一つは、東京都品川区の八潮。品川区の方は東京湾に面する埋立地で、大井ふ頭や大井火力発電所があります。埋立地ということで、近代に誕生した地名ということがお分かり頂けるでしょう。さて、埼玉県の八潮は歴史ある由緒正しい地名かというと、残念ながらそうではありません。1956年に誕生した、戦後生まれの新しい街なのです。


八潮の成り立ち


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<1880年代後半の八潮。中川はまだ旧水路を通っていた。>


1956年、八條(はちじょう)村、八幡(やわた)村、潮止(しおどめ)村が合併し、八潮村が成立します。各村の頭文字を見てみてください。そう、八潮は合併前の村の合成地名だったのです。現在、開発が進められている八潮駅周辺は、昔の潮止村にあたります。「潮止」自体も1889年の合併時に誕生した地名で、東京湾の潮が川を上り、この辺りで止まるからという理由で名付けられました。


この付近では潮以外にも、様々なモノが止まります。特に人間、いわゆる土左衛門はたびたび上がるので、引っ越してきた方は驚くかもしれません。八潮という街が魔力によって引き寄せる・・・というわけではなく、急に川の流れが緩やかになるので、岸に上がりやすくなってしまうのです。まだ流れていればいい方で、都の水門を閉められて逆流してしまう川もあります。東京に近いので仕方がありませんね。


八潮「キラキラネームはじめました」


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<区画整理施工地区内。造成地は、ちょっとだけ標高が上がる。>


八潮駅周辺では、中央地区、西地区、東地区に分けて区画整理を行っています。道路がきれいに整えられ、地盤改良も行われています。区画整理に伴い地名も変わるのですが、新地名が何とも八潮らしくて、数十年後にはどう思われているんだろうと心配になります。

新地名は以下の通り
中央地区・・・美瀬
西 地区・・・青葉
東 地区・・・若葉

「美瀬」をどう読むか分かりますか?「みらい」だそうです(笑)元々の地名は、大瀬(おおぜ)や古新田(こしんでん)だったのですが、ひどく変わりましたね。青葉(あおば)と若葉(わかば)もどこにでもある感じの地名です。八潮は濁点が付く地名が多いだけに、微妙に親近感はありますが・・・。


新地名は、町名策定委員会がいくつか候補を指定し、その中から市民の意見を「参考」にして生まれました。市民の意見で最も多くの票を得たのは、中央地区が大瀬中央、西地区が青葉、東地区が潮止でした。キラキラした候補が並ぶなか、大瀬中央と潮止は無難な選択でした。それがどうして輝いちゃったのか・・・。委員会の議事録を見ると、委員個人の嗜好に左右されていることが分かります。また、「若者の考え」やら「新しい住人」「地価上昇」うんぬんと、イメージ重視で話が進んだようです。なかには、歴史を大切にしたいという委員もいましたが、いちゃもんをつけられ全体での議論にならず。中央地区は、もっとも避けたい結果になってしまいました。新しい住民が、長い間使い続けることを考えると本当に可哀想です。名前に負けない街になることを祈るばかりです。

【追記】
キラキラネーム回避しました↓
八潮駅周辺で地名変更。大瀬、茜町に


垳は八潮の数少ない誇り?


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<垳は地名のほか河川名にも使われている。>


「垳(がけ)」という字を見たことはありますか?この字は日本でつくられた国字で中国にはありません。地域文字とも呼ばれ、ある特定の地域だけで使われていたりします。この垳という字を唯一地名に使用しているのが八潮です。そして、八潮の垳は区画整理によって青葉に変更予定です。はじめにネタバレをしてしまうと、区画整理対象地域は垳地区の7割で、残り3割は存続します。これは前々から決まっていたことです。しかし、地名が青葉と決まった頃でしょうか、ある日突然マスコミで取り上げられ、垳を守る住民運動が起きています。唐突なことで何を今更という感じですが、唯一と知ると残したくなるのが人というもの。市では青葉のままで行くと強気な姿勢ですが、住民運動が盛り上がれば青葉取り消しもあるかもしれませんね。


Thank You.





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